このワタクシの訪問先の税務課は、バブルの象徴のような高層区役所のかなり高い階にあった。東京ドームの屋根がはるか下の方に見える。
税務課には、一人中年オジサンが来ていて、職員と何やら話しこんでいる。
その人の用件が終わらないと、このワタクシの順番が回ってこない。それとなく話を聞いていると、オジサンが激昂しだした。
このワタクシが理解したところによると、話はこうである。
オジサンは勤続30年の会社を最近リストラされ、地方税(特別区民税と都民税)が払えなくなって相談にきたらしい。当然、会社員ではなくなったので、今まで源泉徴収されていた税金は自分で支払わなければならない。
自分で支払う際には、区役所から送られた請求書に基づき、一括もしくは四分割で払うことになる。
とにかく、オジサンは一括であろうが四分割であろうが期限内に払えないらしい。
オジサンが激昂した理由は、払えない人間に対する行政の以下のような態度である。
(1)オジサンは毎日生きているだけで金利を取られる。
金利を取られることは世の中の常であるのでしかたない。
ところが、その利率が14.6%もするらしい(所得によっては多少違うだろうが)。確かにそれは異常である。普通預金の利率が率とはいえないような低利率である現在において、14.6%も取るというのは非常識であるし、現在でなくても給与が無いから払えないという人にこれだけの利率をふっかけるのはおかしな話である。これならヘタな消費者金融業者といっても過言ではない。
(2)仮に四分割で払えたとしても、最終期限が01月31日であるのは不公平
会社員の場合は、翌年5月(?)の給与までの12分割であるらしい。
オジサン曰く、リストラされた人間よりもサラリーマンの方が優遇されているのである。詳細は不明なるも、この事実だけ聞くとそのとおりである。
税務課の職員は、何を言われても、「法律で決められた制度ですので、、、」の一点張りである。確かに、税の徴収方法は法律で決められているのであろう。しかしながら、その法律は、戦後直後に制定されたものらしい。
法律制定後、日本中にある1000に近い数の地方自治体の税務課職員が、誰一人として、14.6%等に疑問をいだかなかったのだろうか。税務課に働いた人(多分「数万人」はいるであろう)がおかしいと思って政治家に働きかけていれば(別に働きかけなくても、その街選出の国会議員に一言言えばよいだけの話だと思う)、この50年の間に、少なくともこの不合理な利率くらい改善されてきたはずである。
「法律で決められた制度ですので、、、」と言い続けるのもいいが、それしか言えないところが、公務員の最大の問題であり、庶民と懸け離れていると言われる由縁ではないかとツクヅク思ってしまった。
14.6%の利率を、「法律で決められた制度」だから、「正しい」と思って、当たり前に徴収している神経は、庶民には理解できない。
なお、地方税は前年度の給料に基づき支払うことになるので、(前年度は給与をもらっていた)オジサンがリストラされたことと、支払えないことは、本来別問題であるが、あまりにもカワイソウである。リストラされることが分かっていて、税金だけ別に貯金する殊勝な人間なんていないはずである。そんな人が出てくるような国にはなってほしくない。。。
高過ぎます。。。